行きづまり

新しい店でバイトをするようになってから、チラシを配ったり、電話でお店を移った事を連絡して、初めは、お客さんを呼ぶ事に一生懸命でした。お店は見る見るうちに大繁盛していきました。六本木のクラブでバイトをしていた時に来ていたお客さんも当然、来てくれていました。多い時には、テーブルが2回転も3回転もしていました。お客さんがいっぱいで席がない時は、近くの居酒屋で、テーブルがあくまで、待っていてくれるお客さん達もたくさんいました。「いまどきこんなに客が入ってるなんてすげ〜な。」などとお客さんもよく言っていました。でもそんな大繁盛とは裏腹に、お店を出した時の借金は、まだたくさん残っていて、初めの話とは違い、お給料はしょぼいものになっていました。
善良な○○さんは、殆ど毎日のように飲みに来てくれていましたが、他にも六本木のフィりピーナのいるクラブや新宿、調布の店などにも顔を出していました。お店は和気あいあいとしていて、夜中の2時に閉店してから、常連のお客さん達と店長と私達で、殆ど毎日のように近くの居酒屋や、中華料理屋、小料理屋、おすし屋などで、ご飯を食べて帰っていました。20人以上で食事をしていた事もしょっちゅうだったと思います。善良な○○さんも、次の日は朝から仕事だというのに、よくそのメンバーに加わっていました。ボーリング大会も何度かありましたが、参加者はたくさんいて、盛り上りました。オープン記念、ゆかた祭り、クリスマス、どれも、もの凄いにぎわいで、お客さんの熱気でいっぱいでした。でも、お店は大繁盛で、店の経営のゆとりも出来てきた頃には、私の生活は、完全に行きづまってしまっていました。少ないお給料が続いて家賃を支払っていませんでした。